GIFT



(うっ、思ったより寒い……)


屋上への扉を開けた瞬間冷たい空気が体を包んだ。


………だがそんな時の為に秘密兵器があるのだ。


いそいそといつも自分が寝ている場所の方へ足を向ける。

毎日ここで昼寝をしている。
学習ぐらいする。

昨日はそのまま眠ろうとしたら寒すぎで眠れなかった。




落書きだらけの壁についているドアの横の梯子に足をかける。


だが、その足はすぐに止まった。






ガタッ






(あ、あぶねぇ……!!)


足を踏み外した。

なんとか落ちずにすんだが、踏み外す原因は動揺したからだ。


屋上のひとつ高い場所。ドアの上はこの学校で1番高い場所だろう。

そこは自分の特等席になっている。


たぶん屋上にほとんど人がこないのは自分がいるからだろう。

そう、人はほとんどこない。
頭が怖いから。


なのに、なのに………


いつも自分が寝ている場所には長い黒髪を無造作に散らばらせ、体よりいくらかサイズの大きい学ランを着ている少女が寝ていた。
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