君と星空の中で。
伴奏なんて、あたしはつけなかった…。
なのに…。
「俺、耳はだいぶいいんさね。数分前に聴いた曲を、そのまま弾くことぐらいはできる」
まあ、勝手に伴奏つけたからちょっとオリジナルになってるけど。
そう言って、蓮川祐希は楽しそうに笑った。
「すごい…」
“ぐらいは”っていったけど、こんなことなかなかできるもんじゃない。
聴いた歌詞に、速攻で自分好みの伴奏をつける。
驚異的な耳と、記憶力と、天性の音感。
並みの人にできることじゃない。
それをこの人は…できる。
もしかしたらあたしは、とんでもない人に会ったのかもしれない。