アダムの林檎
決してお互いに意識していた訳ではなかったのだ。少なくとも僕の場合は。


気さくな彼女はとても面倒見の良い姉御肌の女性で、入学したての、まだ履修方法さえ解らない新入生たちに気軽に話し掛けてくれる人だった。


いつも彼女の周りには人が集まっていて、先輩からも頼りにされていて、一目で彼女はこのサークルの要のような存在である事に気がついた。


そして先輩男子たちが彼女を見つめる鋭くて優しい目を見た瞬間、ああ、そういう存在なのだと言うことにも気付いた事を今でも鮮明に覚えている。





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