近すぎて、遠すぎて。
その日の放課後、公園で話す予定だったのに、6月半ばの夕方の風は生ぬるくて心地悪いから、結局俺の部屋。
まぁ親がいねぇからよかったけど。
「あたしさ、海斗くんと付き合えてうれしくてさ。初めはかわいく見られたい一心で猫かぶってた。でも、疲れてさ…裏の顔見せるようになったとき思った。ありのままにいられるって大事だなぁって。」
ベットに座る俺と、
地べたに座る伊保。
俺は見下げて見るのがいやで地べたに座った。
一度、話を止めて、俺と同じ目線で話だした。
「絶対に好きにさせてやるって改めて思った。でも、やっぱり心ちゃんなんだもん。…諦められないんだもん。」
目に涙をうっすら浮かべはじめた。
「はっきり言って。もう心ちゃんが好きでもいいから付き合ってなんて言わないから。…ねぇ、あたしは海斗くんが好きだよ。海斗くんは、今誰が好き…?」
その言葉と同時に伊保の目から涙が落ちた。
「俺は…」