近すぎて、遠すぎて。


口に出してしまったら…
口に出すのが怖い…。
でも、伊保はちゃんと自分の気持ちを言ってくれた。
だから、俺が言う番だ。



「俺は………心がまだ好き。好きだから。」



「…うんっ!なら、仕方ないや…まぁ、盗み聞きしちゃったから分かってた事だけど、面と向かって言われたら諦めつくよ。」



無理に元気に見せた伊保は、今までで1番弱かった。
無理に笑って見せた伊保は、今までで1番悲しかった。
でも、今までで1番強かった。



「ほんとごめん。」



「あやまらないで。あたしがみじめじゃん。」



自然に笑った。

ピーンポーン

インターホンが鳴った。


出ると心。

心が帰って、またすぐに鳴ったインターホン。


出るとまた心。

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