近すぎて、遠すぎて。
大好きな声がする。
振り返ると、自分が弱くなる気がして振り向けない。
「だから、心っ!」
そう叫んで、あたしの腕を後ろから掴んだ。
ぐいっと引っ張って、あたしは海斗と向かい合う形にされた。
「なに?」
「なんで飛び出すんだよ。」
「用事思い出した。」
苦し紛れの言い訳。
「嘘つけ。ごめんな、俺勘違いしたよな。恋愛感情で好きって聞いたんじゃないんだろ?友達ってか幼なじみってか…そういう好きだろ?」
「ばっかじゃない。あたし、今海斗と話したくない。」
捕まれたままの腕を振り払ってあたしは走った。