近すぎて、遠すぎて。

「朝からぎゃーぎゃーうるさい。」



耳を塞ぎながら夢はあたし達に言う。



「俺は、心よりもお前の方が口悪いと思う。」



海斗っ…
だよね。海斗ならわかるよね。



「あ?あたしは高校デビューとか興味ないから。」



化粧してるくせに。
意地張ってさぁ。



「化粧してるくせに。」



「みだしなみって言うんです。」



あたし、最近めんどくさくて、マスカラしかしてないや。



「女って大変だな。なぁ、夏目」



「えっ?あっ!おう…。」



突然の振りに戸惑ってるし。



「心はマスカラだけしかしてないだろ?」



漱石…。
今まで女遊び激しかったの?
女をよく分かってらっしゃる。



「心っ!?」



「なに、海斗。」



「いや、心って…」



漱石を指差しながらそういった。



「心って呼ばせないと漱石って呼ばしてくれないから。」



「それだけっ?」



「あらまぁ。うみと君。なに妬いてっ…はなせっ!」



夢の口を海斗が手で締め付けた。



「おい、黙ろうか。」

< 15 / 200 >

この作品をシェア

pagetop