近すぎて、遠すぎて。

「あれ…?あの二人、心と夏目じゃね?」



裕が新しくできたアイスクリームショップを指差した。
指をたどると、心と夏目だった。



「だな…。」



端からみたら普通のカップルにみえる。
ムカつく。
何も行動できない自分が。



「カップルに見えるな。」



「分かってる…ぱっと思ったこと口に出さないでくれ…俺も同じこと思ったけど…違うやつに言われると余計悲しい…」



「ははっ!ごめんってー」



軽い。軽すぎる。
謝るなら感情を…。



「あ、夏目俺ら見てる。気づかれたか?」



「ほんとだ。あ、心も見た。」



すると、心は俺らに向かって右手で大きく手を振って、左手にあるカップアイスを落とさないようにしながら俺らのところへ向かってきた。



「海斗ーっ!漱石がね、新しくアイスクリームショップができたって言うから一緒に行ったの。」



「そ。よかったじゃん。」



「うん!おいしいよ!海斗も食べる??」



スプーンでアイスをすくって俺に出してきた。
なんだ…これっ!
あ〜んってやつか!?
まじかよ…



「はいっ!」



スプーン渡されました、はい。
でも、間接キスだよな…
小さい頃から普通にしてきたけど、いつになっても慣れない。
それに気づかれないようにするために必死でさ…。

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