近すぎて、遠すぎて。
結婚式が終わり、
あたしたちはさっきはあんなに人で溢れていたのに誰ひとりいない教会のなかにいる。
「海斗。」
「ん?」
「出会ってくれてありがとう。あたしを好きになってくれてありがとう。好きにならせてくれてありがとう。ほんとにありがとう。」
涙はお決まりだ。
「俺もありがとう。幸せにしてやるから、離れんなよ…」
そういって、抱き合う。
海斗の涙があたしの頬をつたって流れた。
海斗の涙は初めて見た気がする。