近すぎて、遠すぎて。
俺は普通に食べるふりをしながらアイスを食べた。
口の中には甘ったるいキャラメルの味が広がる。
でも、味なんかどうでもよかった。
「味どう?」
目をキラキラさせながら俺に聞く。
「甘ったるい。」
冷静に、冷静に。
「なにそれっ!こんなにおいしいのに。あげて損したっ!」
そう怒りながら、俺の手にあるスプーンをとって、何食わぬ顔でアイスを食いはじめる。
…意識してんのは俺だけか。
「やーっぱり、おいしいっ!」
「だなーっ!」
夏目と心が二人でにやにやしながらおいしそうにアイスを食べる。
「裕。帰んぞ。」
その状況が嫌で俺は逃げるようにその場から立ち去った。
「おい、海斗!気持ち分かるけど、逃げなくてもいいだろ。」
「だよなー…」