近すぎて、遠すぎて。

心Side



「あのっ!林原さん!」



可愛らしい女の子の声がした。

振り向くと、同い年だろうか、一人女の子がいた。



「ん?」



「あの…これ…」



そういって差し出したのは手紙。



「えーっと…」



「私、伊保三咲って言います。それ、相沢くんに渡して欲しいの…。」



え…
海斗に…



「いや、あのっ…」



「お願いしますっ…じゃあっ…」



そう言い残して帰っていった。



嘘でしょーっ?
海斗にこれ渡さないといけないのっ?
まじで…?
嫌だよ。
絶対やだ。
でも…



あたしは手紙をもらったまま、硬直していた。

まず、あたしにくれる手紙かと思ったよ。



「…ほんとどうしよ。」



渡せないよ。
あたしも好きだから。
でも、渡さないとあの子の気持ちが無駄になる。

< 28 / 200 >

この作品をシェア

pagetop