近すぎて、遠すぎて。

名前で呼ぶと、小さく微笑んだ。



「ありがとう、海斗くん。」



同時に予鈴がなった。



「戻らなきゃね。」



「だな。」



「あっ!アドレス…」



「あぁ。放課後、靴箱前で!」



「うん。分かった!じゃあね!」



俺は手を軽くあげて、走って帰る三咲の後を歩きながら帰った。



授業なんか気が気じゃなかった。


後悔が込み上げてきた。
三咲に申し訳ない気持ちがいっぱいだった。
もし、忘れられなかったら。
もし、三咲を好きになれなかったら。
ただの都合のいい女になる。
ほんと、ごめん。



…考えると、俺の初めての彼女。

心ばっかり見てきたんだな、と改めて感じさせられた。


やっぱり初カノは心がよかったな。
そう思う俺は、本当に最低だ。

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