近すぎて、遠すぎて。
「あのっ!林原さん!」
昼休み、トイレの帰りに夢と廊下を歩いていた。
ぱっと振り返ると、
伊保さんがいた。
「なに?伊保さん。」
あたしは小さく微笑みながら言った。
別に伊保さんを敵視するわけじゃないし。
「ありがとうっ!手紙渡してくれて。そのおかげで付き合えたよ!林原さんは、私達のキューピッドだねっ。」
はっ…
キューピッド?
笑えんね。
こんな心のねじ曲がった女のどこがキューピッドだよ。
…なんて言えるはずもなく。
「よかったじゃん!海斗と仲良くね!」
“あたしはもう海斗なんか好きじゃないからなんとも思わない。”
そう言い聞かせる。
「ありがとっ!三咲って呼んでね!」
「あー、分かった。あたしも心でいいよ。」
「うんっ。じゃあね、心!」
「ばいばい。」
なんか、この子疲れる。