近すぎて、遠すぎて。
帰り道。夢は用事があるらしいから一人で帰る。
ただ、なんにも考えずに歩いてた。
なんにも考えたくなかったんだ。
ぽつっ
雫が顔に落ちた。
雨か…
その途端ザーザーと降り出した。
「最悪っ…!」
あたしは猛ダッシュで近くのコンビニに駆け寄った。
とりあえず、雨が止むのを中にも入らず待った。
人が見えた。
…あぁ、見なきゃよかった。
相合い傘する海斗と三咲。
気づかないで…。
中に入りたいけど、ドアと逆の場所にいたから、入ろうとしたら鉢合わせ。
もうここにいるしかない。
「…心?」
海斗はいつでもあたしの存在に気づいてくれるよね。
背を向けてたのに。
「あっ…海斗じゃん!三咲も!」
演技の勉強しようかな。
本気で思ってしまった。
「おぅ。心、傘は?」
「忘れたから雨宿り。それ海斗の傘?」
「ああ。…三咲が傘忘れたみたいでさ。」
三咲、かぁ…
海斗が女子で下の名前呼ぶのあたしだけだったのに。
「そうなのぉ!天気予報見なかったから…」
海斗の横からひょこっと顔を出して三咲が言った。
…こいつ絶対傘持ってきてるよ。