近すぎて、遠すぎて。
もう、走ることもしなかった。
10分くらいで家つくだろうし。
雨に打たれたかった。
全て消したかった。
あたしの中にいる、
海斗への想いを。
あたしは、空を見上げた。
顔には冷たい雨が打ちつける。
目も開けておくことなんてできない。
顔から流れる雨の雫とともに、あたしは涙を流した。
ねぇ、海斗?
あたしは海斗を忘れることなんて出来ないのかな。
もう、辛いよ…
「心っ!?」
なんでくんのよ。
なんで…
あたしの中から消えないじゃん。
海斗があたしの前にいるかぎり。
「なにやってんだよっ!ばか。風邪引くだろ。」
「ばかはどっちよっ!三咲は?あたしのところにくる場合じゃないじゃん!」
雨、降っててよかった。
涙が隠れるから。
「あいつ、傘持ってたんだよ。だから、心のとこきた。傘忘れてんのに帰るの、気掛かりだった。」