近すぎて、遠すぎて。


「海斗、ケータイなってるよ?」



洗い物を済ませ、リビングに戻ってきた心が机の上にある俺のケータイを指差しながら言う。



「あ…ほんとだ。」



痛みはちょっと和らいだ。でも…心、怖いよ。

そう心の中で思いながらケータイを開く。

着信件数10件
そう表示されていた。

全部、伊保。



「出ないの?」



「切れた。」



「…あ、また鳴った。」



着信。

おそるおそるとった。



「もしもし…」



「なんで、でないのよっ!?」



そう怒鳴る伊保の声。



「飯食ってた。」



「今から、海斗くんち行っていい?」



…は?

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