近すぎて、遠すぎて。
心Side
担任に渡すものがあったから、職員室へ向かう途中。
同じ中学だった桜田さんと海斗が話してるのが見えた。
会話は聞こえない。
普通に職員室へ行こうとした。
急に大きくなった海斗の声。
「恋愛感情なんてねーよ。ただの幼なじみなだけ。腐れ縁だよ。」
あとの言葉はさっきと同じ声で話すから聞こえない。
…なんで強調すんの?
絶対あたしのことじゃん。
それは海斗の本音ですか…?
あたしに気づいた海斗。
違うってなに?
言い訳すんの?
あたしのこと嫌いなんでしょ。
幼なじみが嫌なんでしょ。
そう口に出したいのに。
出せない。
腕を捕まれた。
「待てって。」
やっぱり男子には敵わない。
どんなに全力疾走しても追いつかれてしまう。