近すぎて、遠すぎて。


いほみさき。
伊保みさき。
伊保三咲。

あぁ!海斗の彼女ね。



「「えーっ…!」」



下を向いて照れてるのを隠そうとしてる漱石を可哀相だと思ってしまった。

伊保三咲の彼氏、横にいますよ。

ちらっと海斗を見ると、
焦ってるように見える。



「へ…へぇ…なんでかなぁ…?」



「こないだ、俺トイレ行こうとしたらさ、三組から出てきた伊保とぶつかっちゃって…伊保の頭がちょうど俺の口元にあたって血がちょっとでてきてたらしい。」



ちょっと小さい声で照れ臭そうに話す漱石。

漱石は続けた。



「そしたら、『あ、ごめん。血出てるよ。トイレで鏡見てこれば?』って無表情で去っていったんだよ。もう、かっこよくてさ…」



………間違ってるよ。
かなり間違ってる。
三咲ちゃん、冷たすぎでしょ。

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