近すぎて、遠すぎて。
これが幼なじみの壁なんかな。
「見つけたー」
げっ…!
漱石だ…。
うわ。楽しそうに走ってきやがる。
「海斗、探したし。」
「あぁ…」
小声の海斗。
「心もいるし。」
「うん…。」
小声のあたし。
「海斗に彼女いるらしいじゃん!」
「…………………いや…………」
「なんだよ、渋い顔してよぉー」
どうしよ。どうしよ。どうしよ!
「井川三咲って言うみたいだけど、どこ高?」
井川三咲は存在しないんだよ…。
「いや…その話なんだけどな。」
ん?と漱石が海斗の話を待つ。
「あのさっ…」
海斗が話し出したと同時に昼休みの終わりのチャイムが鳴った。