近すぎて、遠すぎて。


ピーンポーン



『はい』



「あ、海斗?あたし!」



夜、あたしは海斗の家に行った。



『ん。待ってろ。』



ん。って…あたし、このぶっきらぼうな感じ好きなんだよね。



ガチャと音をたてて開く。



「こんばんはー。入れてー!」



「あ…ちょっ!…無理。」



玄関に一歩踏み出したあたしを手で止める海斗。

あたしの視線の先には、女の子の靴。
あきらかにおばちゃんのじゃない。



「…三咲ちゃん来てんの?」



「まぁ…。」



あー。タイミング悪かったか。



「じゃあ、帰るわ。ごめんね」



「いや、話あったんじゃねーの?」



「三咲ちゃんとの間邪魔するわけいけないしね。また、明日の夜行く。」



だから。だから、早く帰して。
お願い、その手離して…

< 90 / 200 >

この作品をシェア

pagetop