恋愛ルート



「ゆりちゃん」


携帯電話、と伸ばした手はゆりちゃんの顔がぐいっと近づいてきて引っ込めた


小心者な自分が嫌になる



「ほんっとに、モモは恋とか彼氏とか興味持たないよねぇー」


私の携帯電話を閉じるゆりちゃんの細い指、その先にある爪は華やかに彩られている


緩くウェーブ掛かった茶髪、ぷっくりした唇やつやつやした肌


スタイル良くて着崩した制服が似合う彼女が、何で私みたいな目立たない黒髪で童顔な子と仲良くしてくれるんだろう


つくづく疑問でしかたない



私と居て楽しいのかな



「あんまり、興味ないから」


恋多き年代であろうこの歳でこんなこと言っていいのかな。でも、男子と仲良くなりたいなんてよくわからないよ


1番は多分、話す機会がないから


ゆりちゃんを通して周りの席の男子と話したことあるけど、それ以外はよっぽど、自分から話しかけることがないから免疫もないんだろうね



「恋っていいものなのになぁー」

「…うっ、そうかな……」


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