あたしはモデル。②(修正版)
それがナイフだと気付くのに、そう時間はかからなかった。
「てめぇ…何のつもりだ!!
桜を離しやがれ!」
ナイフを出されては、迂闊に近寄れない。
「やだよ、せっかく捕まえたのに。
ねぇ、桜ちゃん。誰にも邪魔されない世界に行こうか。
俺と一緒だったら怖くないよね?
お兄さんにも会えるよ?」
“お兄さん”という言葉に、拓夢は驚愕した顔になった。
「桜ちゃんは、一生こいつしか愛さないんでしょ?
だったら、俺が一生を終わらせてあげる。
死んだら、俺を見てくれるのかな?」
ナイフの先端が頬をかすめた。
ひりひりとした痛みとともに、つぅ…と何かが頬を伝う。
---血だ