あたしはモデル。②(修正版)



――――――――――



しばらくしてキスをやめた拓夢は、息継ぎもままならない私の顔を見つめて、ポツリと言った。




「…俺さ、今度撮影でオーストラリアに行くことになったんだ。」



「っ、はぁっ…、え?」



いきなり言われたことに、頭がついていかなかった。

オーストラリア…?



「写真集の撮影で。ドラマの撮影が終わってからだからいつ頃かはまだわかんねぇけど、
これからますます忙しくなる。


…だから、桜とは少なくとも数か月は会えない。次いつ会えるのかもわからない」



「……。」


冷静に考えるのに少し時間がかかった。




私が今日、拓夢に会ったのは3週間ぶりで。

会えない時間はさみしくて、電話じゃ足りなくて、会いたくてたまらなかった。



3週間でこうだったのに、数か月も会えないなんて…




「だから今日、すげぇ会いたかった。…なのにごめんな、風邪なんか引いて。ごめん…」




「…っ」




堪えようと思ったのに、涙が出た。





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