あたしはモデル。②(修正版)
「拓夢?ごめん、なにか怒ってる?」
『…いや、別に怒ってるわけじゃないけど。
なんかさ、』
『拓夢ー!そろそろ搭乗ゲート行くわよ!』
何かを言いかけた拓夢の声に重なって、拓夢を呼ぶ声女の人の声が聞こえた。おそらく、この声は拓夢のマネージャーの沙織さんだ。
『あ。すいません、すぐ行きます!
ごめん桜、搭乗ゲート行くからいったん切らねぇと…』
「あ…うん。」
----ふと、
今までも、今回の撮影の間も、これからもずっと拓夢と一緒に居るであろう沙織さんがすごくうらやましくなった。
ぐっと唇を噛み締める。
私は、何てことを思ってるんだろう。
「がんばってね、拓夢!」
そんな思いを打ち消すように明るい声を出して、自分から通話を終えた。