満月の夜とミミの青い瞳
2人は場所を移し、小屋から少し離れた公園に来た。
もちろん夜だから誰もいない。
「君、なんて名前?」
ベンチに座りながら、男の子が訊く。
「ミミだよ。あなたは?」
「僕はタクト」
タクト、とミミは繰り返した。
ずっと知りたかった彼の名前。
『素敵な名前』
心の中で何度もタクトを繰り返した。
「ミミちゃんって、瞳が青いんだね。よく見てもいいかな?」
「えっ?」
ミミが答える前に、タクトは彼女を自分の方に向かせた。
頬に手を当てられ、まじまじと瞳を覗き込む。
『ち、近い!』
照れるミミをよそに、タクトは真剣な表情で彼女の青い瞳を見つめた。