藍色砂時計
「なぁなぁ葵ちゃん、
今暇……?
てかどうしたん、
えらく元気あらへんやん」
「んあー、元気ですよ。
それより、どうしたんですか?」
流石に身体ごと向けないと失礼だろう、
と思った私は、
体勢を変えてちか先輩と向き合う。
「そーやったそーやった」
忘れてた、と手をぽむりと叩く先輩。
ふぅん、この一瞬で忘れてたんだ。
こりゃ、どうでもいい話だな。
「…それがな、噂なんやけど。
刹那にそっくりの男子が、
他の高校におるらしいんや。
――で、そいつが葵ちゃんのこと
めっちゃ探してるらしくって」
“刹那”。
ちか先輩は、刹那のこと……
知ってるの!?
って、今はそんなことどうでもよくて。
「そんで、とうとうこの高校にまで
探りの手ぇ回してきてな。
たまたま声かけられたんが
舞螺やって、そこはうまく
言っといてくれたらしいんやけど。
刹那にな、もう本当……
似とるっていうか、
刹那が生き返ったかと思ったって、
舞螺言っとったわ!」