藍色砂時計











「ふんっだ。

 私が刹那以外見えてないの、

 知ってるくせにー」


  わざとらしく歯を見せて対抗すると、

  眉を垂らしてくすりと微笑む刹那。


「ん。――知ってる」


  頷いて、微笑んで、頭を触って。

  ――そして刹那は、消えていく。


「……へへ」

 
  一人残された公園で、

  その場に泣き崩れる。


「刹那が、っ…刹那が……っ!

 覚えてくれてた…っ、覚えてくれてたよぉ…!」


  砂時計を握り締めて身体を折り曲げる。

  抱き締められたはずがないのに、
  触れられるはずがないのに。

  それでも刹那の体温を感じた。















< 113 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop