藍色砂時計
「刹っ那…!
馬鹿、馬鹿ぁ……!」
少しずつ嗚咽の混じってくる声。
人気のない公園に響くには十分で、
響き渡った自分の泣き声に自分で驚く。
「…ん?かーのじょ、何々?
もしかしてぇ…。泣いてんだっ?」
――後ろから軽い口調が聞こえる。
反応する暇、余裕なんて…今の私には無いわけで。
「えー、ちょっと何ー?
し か と ?」
シカトされることが不本意なのか、
あからさまに声のトーンが落ちる。
「こんな人気のない公園で、
そんな可愛い格好ってことは…
ふぅん、デートだ」
また違う声。
この声は、軽くなんてなくて、むしろ重くて、
絶対賢い人だ。
――なんて、泣いてるのに何故か冷静に
男の人たちの声を聞き分ける自分がいる、
「まじ?あー…なら、振られたんだ。
だから泣いてるんでショ?」
少し頭を上げて、後方に視線を遣る。
「? 睨んでんのか…?」
それを睨んだと勘違いした阿呆ちゃら男が、
眉間に皺を寄せる。