恋百物語


ズボっと矢が的の横の土に刺さる。






授業をさぼった私は道場に来ていた。

須藤ちゃんの言うとおり、平野先輩の姿はもうなくて。

頭を冷やす、なんて言いながら期待していた自分が嫌になる。






精神統一、落ち着かなきゃと弓を手にとった。






学内の隅にある人目につかない掘っ建て小屋。

さすがに授業中に堂々と射ってたら誰かしら来るんじゃないかと思ったけど、そんな心配は今のところ必要ないみたいだ。






ズボズボと射ち続けて30分。






私が放つ矢はどれも的にかすりもしない。

横も高さも位置はバラバラ。






須藤ちゃんにはかなわないけど、私だってそれなりの実績は持ってるはずなのに。

こんなにも当たらないのは、やっぱり集中しきれてないせいなのか。


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