恋百物語
目を閉じれば浮かんでくる、仲のいい先輩たちの姿。
部活中にいちゃついてるところなんて見たことないけど。
お互いの立ちを見つめる視線は真剣で。
優しくて。
一緒に帰るふたりを見て嫉妬することがなかったといえば嘘になる。
叶わないと知りながらも、私だって平野先輩の一番になりたかった。
他の人には見せない顔とか、愛しさとか、もっともっと知りたかった。
触れたかった。
私のこと、好きになってもらいたかった。
欲を言いだしたらキリがない。
けどふたりの関係は私にとって憧れでもあったのだ。
笑ってる先輩が好きだった。
居心地のいいこの空間が壊れてしまうことが恐かった。