恋百物語
学内ギリギリの北の端。
他の施設や部室からは完全に隔離されたような場所にひっそりと立つ、今にも崩れそうな古い掘っ建て小屋。
「バイバイ。また明日ねー」
ホームルームが終わると同時に、私は毎日その小屋を目指して心を弾ませる。
部員わずか16名の弱小弓道部。
特に3年生が引退したら2年の女子は私と須藤ちゃんのふたりだけで。
始めたばかりの1年生とチームを組まなきゃ試合にもでれやしない。
だけど私はそんなボロい道場が大好きだった。