恋百物語
思わず声を荒げると、一瞬松崎がひどく傷ついたような顔をした。






さすがに言い過ぎた。

あやまろうと顔をあげる。




「俺、チャラ男じゃないよ。松崎康介って、ちゃんと名前があるんだけど。知ってた?」




だけど、今まで見たことのない、冷たい瞳と目が合って。

そういえば私は一度も松崎の名前を呼んだことさえなかったかもしれないと、今さら気づいた。




「須藤ちゃんは、そんなに俺が嫌い?」

「私は別に…」

「…だよね。嫌いになれるほど俺のこと、知ろうともしてくれないもんね」

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