恋百物語
たった一個の年の差なのに、隣に並べばどうしたって私の方が圧倒的に幼くて。
背伸びの仕方もわからない。
届かないその距離に切なくなる。
「ね。俺、持ち矢全部射っちゃったんだけど」
先輩が私の隣にどかっと腰をおとす。
「…だからなんですか」
「ついでに俺の矢も一緒に回収してきて?」
「ついでってなんですか。私、まだ一本も射ってないんですけど!?」
「いいからいいから」
いい子いい子、なんてわしゃわしゃと人の髪をぐちゃぐちゃにして。
勝手なことを言いだす先輩。
…人の気も知らないで。