恋百物語
「で、ここででてくるのが4代目将軍、徳川家綱になるわけで」
もやもやした気持ちを抱えたまま、迎えた午後の授業。
教卓では歴史の教師が江戸幕府について熱く語っている。
私は普段、比較的真面目に授業を受けるタイプだけど、今日のノートは真っ白のままだ。
だって私、人んちの家庭の事情なんて興味ないし。
徳川さんちの揉め事なんてどうでもいいんだよ。
なんかもうシャーペンの芯をだすことさえ面倒くさい。
あー、と小さな唸り声をあげて窓の外に視線を移す。