恋百物語

隅の男の子はいっこうにボールをうまく扱えずにいて。






あ。空振りだ。

少し恥ずかしそうに、それでも必死な姿は見ていてちょっと和める気がした。






その近くには、楽しそうに飛び跳ねながらうまいことヘディングをしている男の子。

遠目で顔がよく見えないけど、彼も見たことがあるような気がする。

誰だったっけ。











……ガタっ!!






「すみません!おなか痛いんで保健室に行ってきます!」

「え?ちょ。須藤さん!?」






目をこらした次の瞬間。

無駄に大声でそう宣言し、私は教室を飛びだしていた。

あきらかに仮病だとバレバレなのはわかっていたけど、気にしてる余裕はない。











だってこんなにも強い衝動、私は知らない。



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