恋百物語
熱く宿っていた衝動が落ち着くにつれ、虚しさが増す。

後先考えずに飛びだしてみたところで、私はここから動けない。

どうしたって立ちどまって考えてしまうんだ。

中途半端な自分が嫌になる。




「…なにやってんの」




尻尾を巻いて逃げ帰るしかないのかと肩を落としていると、後ろから声がした。

慌てて振り返る。






「松崎…」






初めて彼の名前を呼んだ瞬間だった。

< 52 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop