恋百物語
好きだと言ったのはそっちのくせに、余裕の顔でなおも近づこうとする松崎。
私の心臓はもういっぱいいっぱいだ。
だけど素直に頷いてやるのも悔しくて。
わざと冷めた態度でそっぽを向く。
ずっと抱えていたもやもやはどこか遠くに消え失せていて。
心はほんのり暖かく、晴れた空と同じくらい穏やかだった。
「………………気の迷いだよ」
「迷わないで!?そこはハッピーエンドで終わろうよ!」
「や。無理だし」
今は、まだ。
きっと。
Fin.