恋百物語
めずらしい人だと思った。
最初はただそれだけだった。
それからつい目で追うようになって。
いつのまにか、俺は彼女から目が離せなくなっていた。
しばらく見つめているとすべての問題を解き終えたのか、彼女は小さく欠伸を噛み殺しながら窓の外にふらりと視線を移した。
整った横顔が見やすくなる。
そこまではよかった。
なのにその後、なにを思ったのか彼女の視線は真っすぐ俺を捕らえていた。
目が、合った。