恋百物語
「いい加減、不毛な片想いなんてやめときなよ」
そう。
確かに不毛だ。
平野先輩には彼女がいる。
同じ弓道部の阿部先輩。
ショートカットが似合うサバサバした美人。
私が入部したときにはもうふたりは公認のカップルで。
美男美女でお似合いのふたりの間に、私が入り込む隙間なんて欠片もない。
そんなこと初めからわかってた。
わかってて、それでもこの一年、とめられずに育ててきた想いなのだ。
須藤ちゃんが心配してくれているのはわかる。
だけど私は曖昧に笑うことしかできなかった。