恋百物語
「そんなのばっか飲んでると余計縮むかもよ?」
「平野先輩!」
気づけば通りがかった平野先輩が缶コーヒーを片手に笑っていた。
通学中に会えるなんて初めてかもしれない。
先輩の家は確か別方向だったはずだ。
挨拶もなしになにやら失礼なことを呟いてるけど。
グレープにも先輩にも会えるなんて、今日の私は絶好調かもしれない。
「牛乳飲みなよ。牛乳」
「牛乳で身長伸びるとか迷信ですから。乙女にはグレープのビタミンも必要なんですー」
「ハハ。乙女。小っさ」
いつも以上に失礼で会話もいまいち噛みあってないけど。
自然に隣を歩き始めてくれた先輩に、私はまた好きをつもらせた。