寂しがり屋には愛情を。
「またここにいるし…おら、弁当。」
あら、お兄ちゃん。
「あ、助かったー、食べるものないしお金もないから先生にたかろうと思ってたんだよねー!」
あたしたかられるところだったのか?!
「お前なぁ…あ、今日は先帰ってろよ。」
「ケンカ?」
「おう。あ、いや…ケンカって言うか、なんと言うか、」
途中であたしの視線に気がついたのか、言葉を濁す武藤お兄ちゃん。
「またケンカ売ったわけ?」
「違げぇ。買ったんだよ。
こいつが色々言ってめんどくせぇからケンカは買う専門になったんだ。」
こいつと言うのは視線の先にいる夏芽のことだろう。
前に西野くんにケンカ売りにきた時とは考え方が変わってくれたのかな?
「めんどくさいってなに?お兄ちゃんが怪我して帰ってきてそれ手当するの誰だと思ってんの?」
「だから売るのはやめたって言っただろ。」
「結局怪我すんのには変わりないでしょうが。」
「しょーがねぇだろ。売られたもん買わなきゃ舐められる。」
「舐められたって良いじゃん別に。」
「良くねぇ。」
「怪我するよりマシじゃん。」
「マシじゃねぇ。」
「まぁまぁ落ち着きなさいよご両人。」
この2人は似たもの同士なんだろうな。
2人とも相手が心配だから口出して、なんでこんなに心配してるのがわからないのかと頭にくる。
「2人とも、お互いが大好きなんだねぇ。」
「「大好きじゃない(ねぇ)!!」」
まぁお互い様ってことで。