寂しがり屋には愛情を。

「兄くんよ。ここに座るがいい。」


「説教なら聞かねーぞ。」


「じゃあ説教じゃないから座るがいい。」


夏芽の隣を指差すと、嫌そうな表情を浮かべつつも席につく武藤兄。


うむ。素直でよい。



「なんだよ。つまんねーこと言ったらすぐ帰るかんな。」


「武藤はなんで喧嘩するの?」


「…帰る。」


「いや待てよ!まだ早いでしょうが!」


「完全に説教する気じゃねーかよ。」


「違うってば!あたしはただ理由を聞きたいだけ!なんであんたは喧嘩をしたいの?」



前に西野くんに突っかかって来た時、言ってたよね。

喧嘩してないと、オレはオレじゃなくなるって。




「あたしはあんたにとって喧嘩がなんなのかを知りたいだけ。それも教えてくれない?」



前の君はとても暗い眼をしてたよ。

今もあたしの言葉で陰るのがわかったよ。

なにが君を苦しめている?








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