寂しがり屋には愛情を。
「センセ。あたしが話す。」
「夏芽?」
「あたし、知ってるよ?あたしなんでしょ?お兄ちゃんが喧嘩を始めた原因。」
武藤兄の隣。
ずっと黙って俯いていた夏芽が静かに口を開いた。
「それは違う。オレはオレのために喧嘩してんだ。お前は関係ない。」
「違わないよ。
お兄ちゃんはあたしを守ってくれてるんだよね?あたしがいじめられたり、絡まれたり、馬鹿にされたりする度に喧嘩してるんだもん。流石のあたしでも気がつくよ?」
「…違う。」
「お兄ちゃんはあたしに優しすぎる。
もっと自分を大事にして。あたしはお兄ちゃんに怪我してもらいたくない。それに、あたしももうお兄ちゃんに守ってもらうような歳でもないしね!」
妹のため、か…。
いいお兄さんじゃないの。