寂しがり屋には愛情を。

「オレはそんな…優しい奴じゃない。
喧嘩だって、結局は自分のためなんだ。
自分の憂さ晴らしに意味ない喧嘩もかなりしてる。

お前も知ってんだろ?お前には楽器がある、兄貴には頭がある、オレにはなんもねぇ。オレが存在する意義がねーんだよ。オレは、…出来損ないだからな。」



だから、喧嘩をして自分の存在を確かめる。



「なるほどね。話してくれてありがとう。」




才能のある兄妹がいて、自分にはなにもなくて、

なんで自分には何もないんだ、自分はなんのために存在しているのか、

わからなくて、自分を表すことができなくて、


こいつは喧嘩という言葉も心もいらない環境で、自分の中の不安をかき消そうと必死になっていた。





「苦しかったんだね。」




自分を好きなように表現できないっていうのは、心も体も苦しいことだ。




「でも、無闇に喧嘩するのはオススメできないなぁ。」










< 182 / 258 >

この作品をシェア

pagetop