寂しがり屋には愛情を。

次の日の放課後。


「うちの兄貴と話した?」


自販機の前で西野くんと会長くんと戯れていると、唐突に武藤兄くんが話しかけてきた。

本当に唐突だな。
もっと「あの」とか「ねぇ」とか前振りをしてから話しかけろよ。


「おい。なんでフリーズしたんだ。」


「あんたが唐突すぎるからでしょうが。先生びっくりしちゃうじゃないの。」


「で、兄貴と話したのかって聞いてんだけど。」


あたしのセリフまるっとスルーされちったよコノヤロウ。


「話したけどなにか?てかね、あんたは人のはな…」


「どこで会ったの?てかなんでオレの兄貴だってわかったわけ?」


「どこでって、あたしの家でだけど。
てか、だから、あんたは人のは…」


「あんたの家?!なんで?!」


「それはあたしの…てか!あんたは人の話を最後まで聞きなさい!」



食い気味にこないでよ!!
あたしだってもっと話したいんだから!



「先生、今の話は一体どういうことですか?」


「あー、昨日ね、武藤兄くんの兄の武藤さんが家にご飯を食べに…」


「のぞみセンセーのご飯?!」


「西野くん、うるさいですよ。
で、そこで話し聞いたらこいつの兄貴だって言うからびっくりしちゃって。」


「うるさいって言うなし。武藤の兄貴って前あったあのイケメンの彼氏さん?」


「あー、それとはまた別の…ってあたしは生徒になんて話をしているんだ。」



今になって気づいたよ。








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