寂しがり屋には愛情を。
「…オレは染めないぞ。」
「もうケンカ売られる必要もなくなったでしょ?」
「ケンカはする。」
「ケンカするなら意味のあるケンカをしなさい。」
「…ケンカするなって言えよ教師なら。」
…ごもっともです。
でもさ、この先、本当にぶつかり合わなきゃ分かり合えないような時だってくるかもしれないじゃん。
それが口喧嘩なのか、殴り合いなのか、口もきかないようなケンカなのか、それはわからないけど、どうしても必要なケンカなら避けてはいけないと思う。
「まぁ、後々きっとわかるよ。でもそれとこれとは別の話です。黒く染めておいで。お前イケメンなんだからきっと黒髪似合うよ。」
目鼻立ちハッキリしてるし、鋭い顔してるし、きっといかつい黒髪兄ちゃんの出来上がりだ。
「オレも生徒会として言わせてもらうと、その金髪は目に付くから黒に染めてもらいたいな。」
「あら会長くん。」
次は会長くんの番か。
「交代の時間ですよ。武藤は黒染めでも買ってきたら?」
「…うるせぇぞ枝並。オレは染めねー。」
それだけ言うと、少しだけ重みを増したカゴを会長くんに渡し、武藤はフラッと離れて行った。