寂しがり屋には愛情を。

「で、次は会長くんなわけね。」


カゴを渡された会長くんはニコニコとあたしの隣に並んだ。

爽やかスマイル全開だなぁ。



「そうですね。今日は会長くんじゃなくて翼でお願いします。」


「翼くんね。オッケー。」


「翼です。君はいらない。」


「え、別にいいんじゃ…」


「翼です。…呼んでくれないんですか?」



…そ、そそ、そんなに潤んだ瞳で見つめられても…

別に呼べないわけじゃないんだけど、なんか、ねぇ?恥ずかしいっつーか、なんつーか…


「先生、みんなのことは苗字とかで呼ぶくせに、オレのことはいつまでたっても会長扱いなんですもん…。オレだって枝並翼という名前があるのに…」


…そんなにいじけないでおくれよー!!

なんか会長くんって呼びやすいんだもんよ!

別に差別とかそんなんじゃなくて…!



「じゃ、じゃあ、やっぱ翼くんで。」


「くん付けはいらないですってば。」


「名前で呼んでるのに?!」


「だって、それじゃ、デートっぽくないじゃないですか。」



別にあたしデートっぽさ求めてませんでしたけど?

必要?デートっぽさ必要?




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