寂しがり屋には愛情を。
ーーー
「センセー…なにやってんの?」
「あ……。」
「もう交換の時間か。思ったより早いな。」
ひぐち君が前からやってきたわけだが、とっても引きつった苦笑いを浮かべている。
それはなぜかって、たぶんあたしが会長くんの両手を掴んで会長くんに全力の変顔を披露しているからだろう。
誰もが笑ってくれる鉄板の変顔なのに、会長くんったらクスリとも笑ってくれないのよ全く失礼しちゃうわ。
「先生、気付いてました?結構周りのお客さん笑ってくれてましたよ?」
それは喜んじゃダメな事実だと思うんだ。
というかあたしはスーパーで一体何をしているんだ。
最初は会長くんをあたふたさせる事だけを考えていろいろ仕掛けたんだが、全くあたふたする気配がないからさ、
だんだん笑わせればクリアでいっかみたいな?ハードル下げちゃったよね。
なのになぜ!
なぜ笑ってくれない会長くんよ!
「会長くんのバカ!」
「あれ?もう翼って呼んでくれないんですか?」
「もう呼ばない!ひぐち君行こー!」