寂しがり屋には愛情を。
「のぞみー大丈夫?!何もされてない?!遅くなってごめんね!!」
武藤兄弟のやり取りをまるっとスルーしてキッチンに突撃して来た凌ちゃんさん。
何もされてない?ってむしろ何をされると思っていたんだこの人は。
「大丈夫ですよ。ご心配どーも。」
「あはは センセー冷たーい。彼氏さんが可哀想ー。」
「なんか、彼氏さん前とキャラ違くない?」
「彼氏さん、お邪魔してます。」
ひぐち君、西野くん、会長くんと口々に凌ちゃんさんに言葉を浴びせると、凌ちゃんさんがみんなを一人一人、ゆっくり見渡す。
「お前ら、…こないだの奴らか。」
「あれ?2人のこと知ってるんですか?」
「前にあったんですよねー?オレら修羅場に遭遇しちゃったの!」
「そーそー。彼氏さんがセンセーに振られた現場な。」
「振られてねぇから!」
「振ってないし!」
前に凌ちゃんさんがこいつらに会ったのは、この前のケンカの発端となったあの時だ。
教師として完全に見せちゃいけない場面だった気もするが、こいつらに励まされたのも確かだ。
「お前は初めてだな。」
「はい。枝並翼と言います。」