寂しがり屋には愛情を。
ものの一分かからずに、ダダダと足音うるさく戻ってきた凌ちゃんさん。
「下の階から苦情きますよ?」
「もう今更でしょ。……のぞみ、さん!」
「え?はい。」
「改めまして、俺と、け、結婚してください!!」
目の前に差し出されたのは、ドラマのプロポーズシーンでよく見る、濃紺の高級感あふれる箱。
パコッ とそれを開ければ、石などついていない、シンプルなデザインの指輪が中央にはめ込まれている。
「こんな…いつの間に?」
「実はさ、結構前から買ってはあったんだ。言ったでしょ?タイミングを見計らってたって。
…言っておくけど、俺だって、あんな勢いのプロポーズじゃなくて、もっと雰囲気作ってプロポーズしようと思ってたんだからね?」
「やっぱり勢いだったんですね。」
「そ、それは、いや、でもまぁ、俺たちはあのくらい勢いがある方が合ってるよ!」
「なんだそれ!まぁ確かに、付き合い初めも勢いだったですもんね?」